長い間、医者を生業としてやってきましたので、いろいろな先生と知り合いになりました。
今回は、富山でお会いした先生のお話しです。
ク〇ノキ先生とおっしゃる真面目を絵にかいたような典型的な内科の先生。
周囲の看護婦さんたちからも愛されていました。その看護婦さんから夜間当直中に垣間見た出来事の
話です。
ある日当直をしていたク〇ノキ先生の所に子供の急患が運び込まれました。
『先生、この子が金魚の消毒液を飲み込んでしまいました。』と母親が心配し来院。
異物誤嚥の場合、可能ならば誤嚥した異物と同じもの(この場合、消毒液のボトル)を持ってきて貰うのが
診断をつけるのにとても大事になります。
この母親は、慌てていたので(たいていに場合そうですが)持参しておりません。
ク〇ノキ先生は、うーーんと考え込んでしまいました。
当直の看護婦さんが歯がゆがって『先生、金魚が飲んで大丈夫なら、人が飲んでも大丈夫ですよ』と
耳元で囁いてあげたそうです。
看護婦さんから聞いた話です。そのあとどうなったかは聞き逃しました。
今の時代信じられないでしょうが、ひと昔前までは異物誤嚥というと『貨幣と義歯』が主でした。
お金を飲み込むなんて考えられないでしょうが、昔は貨幣を口に入れて舐める習慣を持った子供(大人も)
が多くいたのです。舐めているとピカピカになるのです(一度やってみてください)。
私の医院でも、中待ちで待っている間に十円玉を飲み込んでしまった〇宮さんのいう女児がいました。
嚥下反射というのですが、人間はのどの奥に入り込んでしまったものを飲み込んでしまう習性があるの
です。特に、いきなり話しかけられたり肩を叩かれたりする時に多いのです。
今はファイバースコープで異物を取り除きますが、昔は直達鏡という器具を使って取り除きました。
少し前までテレビなどで放映されているのを見かけた事がおありになるかと思いますが、顎を上げて
剣を飲み込むあの要領です。
昔の先生はこの直達鏡の操作が上手でしたが、私の父親は名人でした。
近隣から(他県も含めて)来院されました。
その取り出した貨幣や義歯は本人に返還されることなく(たいていの人はいらないと言ったようですが)
額に入れいて飾ってありました(この点が変わっているなと思うのですが)。
ある日、父親が帰宅して非常に残念がっているのです。
聞き耳を立てると(怖いのであまり近づかないようにしていました)、その額が盗られてしまったようなの
です。
父親曰く『額に入ったわずかばかりのお金が目当てなんだろけど、私の大事な記念品?を盗られたのが
残念だ。』
変わってるでしょう。
閉院して医院を整理していたら直達鏡や取り出した義歯や貨幣が出てきました。
お別れしました。

ここでは私が日々体験したことや感じたことなど、診療に関係する以外のことも書いています。
不定期ですが、随時更新していきますのでよろしくお願いします。
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