
小説の終わりの一節です。
人生、たのしまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。
脚をのばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。
夕方は一日でいちばん楽しめる時間なのかもしれません。
では、後ろを振り向いてばかりいるのをやめ、もっと前向きになって、残された時間を最大限楽しめと
いう男の忠告にも、同様の真実が含まれているのでしょうか。
人生が思い通りにいかなかったと言って、後ろばかり向き、人生を責めてみても、それは詮無いことです。
あのときああすれば人生の方向が変わっていたかもしれないーそう思うことはありましょう。
しかし、それをいつまでも思い悩んでいても意味のないことです。
私どものような人間は、何か真に価値のあるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで
十分であるような気がします。
そのような試みに人生の多くを犠牲にする覚悟があり、その覚悟を実践したとすれば、結果はどうあれ、
そのこと自体がみずからに誇りと満足を覚えてよい十分な理由となりましょう。
日の名残り カズオ・イシグロ
ここでは私が日々体験したことや感じたことなど、診療に関係する以外のことも書いています。
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