2020/07/11　 ダニの経口摂取によるアナフィラキシー（パンケーキ症候群）防ぐには。

開封後の小麦粉製品（お好み焼き粉、たこ焼き粉）は室温保存せず、密封した容器で冷蔵保存
する事が良いそうです。


アレルギー疾患の既往がある患者にみられたアナフィラキシーの事です。

今まで同じ食材を摂取してもアレルギー症状を来したことがないことから、食材そのものが
原因とは考えにくい。
詳細に問診したところ、使用したお好み焼き粉は約3カ月以上前に開封したもので、常温で
保管されていた。
このことから、お好み焼き粉に混入したダニの経口摂取によるアナフィラキシー（パンケー
キ症候群）を疑った。
使用したお好み焼き粉を持参してもらい鏡検したところ、多数のダニが混入していており、
ダニ特異的IgE抗体が陽性であることが判明した。
お好み焼きに含まれていた食材の特異的IgE抗体はいずれも陰性であった。

パンケーキ症候群は、小麦粉製品に混入したダニの経口摂取で発症するアナフィラキシー
（oral mite anaphylaxis：OMA）をいう。

日本では、開封後のお好み焼き粉（82％）、たこ焼き粉（11％）が原因であることが多く、海外
ではパンケーキが多い。

小麦粉のみよりもミックス粉のほうがダニが繁殖しやすい。
高温多湿地域でよく見られ2）、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの
アレルギー疾患の既往が約80-100％である。
本邦ではアスピリン（NSAIDs）不耐症の既往は10％と少なく（海外では50-70％）3）、43％に
喘息の家族歴がある。

原因として、コナヒョウヒダニ、ケナガコナダニが多く2）3）、ダニ抗原は、100℃で1時間以上
加熱してもアレルゲン性は消失しない。

ダニの経口摂取後30分以内に症状が発症することが多く、膨疹・血管浮腫（64％）、呼吸困難
（53％）、喘鳴（44％）、鼻症状、腹痛、嘔気・嘔吐、意識障害、下痢、結膜炎、咽頭痛、低血圧などが
見られる。
グレード4以上の重篤なアナフィラキシーが85％に見られる。

使用した小麦粉製品の中に顕微鏡下でダニを確認できることが多く、ダニ特異的IgE抗体が
陽性である。
使用した診断にはプリックテストが有用である。

開封後の小麦粉製品は室温保存せず、密封した容器で冷蔵保存する事が良いそうです。