中年期から初老期にかけて過体重や肥満だった人は、脳の老化が10年以上も早まる
可能性があることが、米マイアミ大学医学部のMichelle Caunca氏らの研究から明らかに
なった。
この期間中にウエスト周囲長が大きく、体格指数(BMI)が高い人は、加齢に伴い、記憶
や思考などで重要な役割を果たす大脳皮質(灰白質)の厚さが薄くなる確率が高まることが
分かったという。
分析の結果、高血圧、飲酒や喫煙の習慣など大脳皮質の厚みに影響する因子で調整しても、
BMIの高さは大脳皮質の菲薄化と関連することが分かった。
また、BMIが1単位高まるごとに、過体重者では大脳皮質が0.1mmずつ薄くなり、肥満者では
0.2mmずつ薄くなることも示された。
さらに、ウエスト周囲長が大きいほど大脳皮質は薄くなったほか、より弱い関連ではあるが、
BMIとウエスト周囲長はいずれも脳容積の萎縮と関連していることも明らかになった。
Caunca氏によれば、このような関連は65歳未満の人でより強く認められたという。
「今回の研究では、特に中年期から初老期の体重は、その後の大脳皮質の薄さと関連している
ことが示された」と同氏は説明している。
論文の共著者で同大学Evelyn F. McKnight脳研究所のTatjana Rundek氏は、「一般には、
加齢に伴い、大脳皮質は10年当たり0.01~0.10mm薄くなるとされる。
しかし、われわれの研究からは、中年期から初老期に過体重や肥満であると脳の老化が加速し、
10年以上も老化が早まる可能性が示唆された」と述べている。
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