救急車には、いろんな思い出があります。
医師になって二年目に派遣された富山県西部のある病院。
全科当直がありました。全科当直とは、入院患者さん全員と、救急外来の患者さんの
診察を、すべて診るという意味です。
おまけに、その病院は何時であろうと来るものは拒まずという病院でした。
一応、内科系と外科系の当直に分かれており、耳鼻科は手術もするので外科系
でした。
正直堪忍ね、と思っていましたが、気の毒なのは眼科も外科系だったことです。
患者さんが、一番気の毒だと思われるでしょうが、重症な患者さんが搬送されて来る
との連絡が入ると、良くしたもので、自宅待機の外科の先生を呼び出してくれます。
遠くのほうから、救急車の音が聞こえてくると目が覚めます。
枕元に電話があり、お願いだから内科の方が鳴ってねと祈った事を覚えています。
それまで耳鼻科の患者さんしか診察したことが無かったので、頭部の打撲や切創を
診るのは、怖さ半分、興味半分でした。
回数を重ねてくると、慣れも出て来て、要領も判ってきました。
頭を打ったけど大丈夫か?といった患者さんへの対応の仕方も判ってきました。
ただ、バイクに乗って転倒事故を起こし運ばれた患者さんが、頚椎骨折を起こしており、
ご家族の方が、何とか助けて下さいと担当医に必死で頼んでいたのですが、どうにも
ならない事を告げている有り様を、今でも鮮明に覚えています。
バイクだけは乗るまいと思いました。
続く
ここでは私が日々体験したことや感じたことなど、診療に関係する以外のことも書いています。
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