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院長のひとりごと

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2022/05/06 清潔と不潔について。


コロナ禍になってから、皆さんもそうでしょうが、清潔に対する姿勢が変わってしまいました。
私自身の事ですが、極端になってしまい、『不潔恐怖症』とでもいうべき程度に変わったように
感じています。

耳鼻咽喉科は意外に思われるかもしれませんが、内科系ではなく外科系に分類されます。
ある先生から聞かされたのですが、外科から最初に分かれたのは整形外科や脳外科ではなく
耳鼻咽喉科だそうです。

私も、医者になってからは清潔と不潔の区別を厳格に教えてもらいました。
特に、オペ場の看護婦さんには念入りに、涙が出るほど教えていただきました。
ありがとうございます。

さて、随分昔の話になりますが、ある病院に勤務していた時に、声帯ポリープだと考え手術をしたら、
病理検査の結果が結核と出て驚いたことがあります。
今ですと、声帯ポリープの入院期間は4,5日ですが、当時は術後に声帯の安静を保つため(絶対
発声禁を守るためと教えられました)手術後2週間の入院が当たり前でした。

それから、院内(特に手術場と病棟)の消毒で大騒ぎになりました。結核ですから感染力は強力です
ので。

声帯の結核について書いてある文献を探してみました。
確かに初診のときと入院時の声帯ポリープの変化。顕微鏡で手術時に観察した腫瘤の性状の
経時的変化が、記載されている所見と全く一緒で、昔の人の偉大さを思い知りました。

川口松太郎という方がおいでましたが、その息子さんで川口恒という俳優さん(若い頃の私は、彼に
似ているとよく言われました。誰も知らないでしょうが)が活躍していた時期がありました。
川口恒が、喉頭結核に侵される役を主演格で演じた映画のワンシーンを思い出しました。

その患者さんは、幸い初期でしたが、部位的に声帯が原発とは考えられず、肺尖部が原発巣であると
判るまでにだいぶ時間がかかりました。MRIも高性能のCTもない時代でしたから。
内科に転科していたのですが、知らぬ振りもできず結核病棟に何回か往診にいきました。

まあ凄いものですね。戦前から培った、消毒や消毒不潔のノウハウには恐れ入りました。
ドアの開け閉め、蛇口の開け閉めにも素手ではなく紙を持って行い、その紙はごみ箱に捨てて焼却
するのできちんとやってくださいと教えて(見張られて)もらいました。

話は飛びますが、父親の教え子だった産婦人科の先生が、極端な不潔恐怖症に陥ってしまい、父が
その先生のお見舞いに自宅に伺ったら、玄関先で手を床に付けてお辞儀が出来ず手のひらを返して
(手背で床について)挨拶をしたので驚いた、という話を、子供の頃に聞かされたことがあります。

今のところ、その域には達していませんが、注意しようっと。

患者さんに喝破されたように、巣ごもりのまま連休が過ぎてしまいました。
白身は固ゆで、黄身は半熟の「ゆで卵マイスター」にはなりました。

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1256285 25:756

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ここでは私が日々体験したことや感じたことなど、診療に関係する以外のことも書いています。
不定期ですが、随時更新していきますのでよろしくお願いします。

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