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2019/11/01 ティーバッグから大量のプラスチック粒子が放出。



プラスチックが、環境汚染を引き落とし、亀やクジラばかりでなく、人間にも多大な影響を
及ぼしている事は、皆さんご存知と思います。

知らぬ間に、思わぬところでマイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチック粒子を摂取
している可能性が指摘されています。

 紅茶を飲んでひと息ついている間に、いつの間にか健康に有害な物質を飲み込んでいるかも
しれない―。

マギル大学(カナダ)のNathalie Tufenkji氏らの研究で、プラスチック製のティーバッグから抽出した
お茶の中にはマイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチック粒子も大量に含まれている可能性
があることが示された。

 マイクロプラスチックは、肉眼では確認することが難しいほど微細である。
近年、海水や水道水に大量のマイクロプラスチックが流出していることが確認されているほか、
魚介類や人間の便からも見つかったことが報じられており、環境や食物連鎖におけるマイクロ
プラスチックの増大に対する懸念が高まりつつある。

 ティーバッグは伝統的に紙製であるが、一部の製茶企業はこれをプラスチック製のものに切り
替えている。
そこで、Tufenkji氏らは、プラスチック製のティーバッグでお茶をいれた場合、マイクロプラスチック
またはナノプラスチック(マイクロプラスチックよりも微細なプラスチック粒子)が放出されるか否かを
調べることにした。

 Tufenkji氏らは、プラスチック製のティーバッグを使った市販の紅茶を4種類そろえ、それぞれの
ティーバッグの中から茶葉を取り出し、空のティーバッグを洗った上で95度のお湯に浸した。
そして、そのお湯を電子顕微鏡で観察したところ、ティーバッグ1袋から約116億個のマイクロ
プラスチックと31億個のナノプラスチックが確認された。

この量は、他の食物において過去に報告されている量の数千倍に相当するという。
ただし、これらの粒子は極めて小さいため、肉眼で確認できないのはもちろん、飲んだときに舌で
感じたり味の変化を感じたりすることもできないという。

 Tufenkji氏らはさらに、さまざまな量のマイクロプラスチックが含まれた水にミジンコを入れてみる
実験も行った。
その結果、ミジンコは死ぬことはなかったが、身体的および行動的な異常が認められたという。
ただし、同氏らは、マイクロプラスチックが人体に与える影響については「さらなる研究で検討する
必要がある」としている。

 今回の研究には関与していない、米ノースウェル・ヘルス産業・環境医学チーフのKenneth Spaeth氏
は、「この数年間、マイクロプラスチックは環境に影響を与えているだけでなく、人体にも入り込んで
いることを示した研究論文が増え続けている」と話す。
同氏は、マイクロプラスチックが人体の健康に与える影響について判断するにはデータが不十分で
あると強調しているが、「マイクロプラスチックの分子組成に基づけば、内分泌かく乱化学物質や
発がん性物質など人体に有害な物質が含まれているため、健康に悪影響を与える可能性はあると
考えられる」と指摘している。

 また、Spaeth氏は、今回の研究により「環境中に流出したプラスチックだけでなく、一般的な消費者
製品に使われているプラスチック製品からも、マイクロプラスチックによる影響を受ける可能性がある
ことが示された」と話している。

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