筑波大学は、平成28年に行われた「国民生活基礎調査」の回答データを用いて、65歳以上
の人々における難聴(きこえにくさ)と外出活動制限・心理的苦痛・もの忘れの関連を報告し
ました。
難聴が健康寿命に影響を及ぼすメカニズムはいくつか考えられ、具体的には外出活動制限、
心理的苦痛、もの忘れ等が、経路となる因子として考えられます。
特にもの忘れは認知症のリスク因子である可能性が指摘されており、「認知症予防、介入、
ケアに関するランセット委員会報告」によると、介入できる可能性がある認知症のリスク因子
(教育レベルの低さ、高血圧、肥満、難聴、喫煙、うつ病、運動不足、社会的孤立、糖尿病)の
ひとつとして難聴が挙げられています。
研究を行った。
この調査に協力した22万4,641世帯(回答率77.6%)のうち、自宅で生活する65歳以上の高齢者
13万7,723人(平均年齢74.5歳、男性割合45.1%)を解析対象とした。
調査票(健康票)の中で、現在の自覚症状として「きこえにくい」に〇をつけた人たちを難聴が
ある人と判断。
難聴の評価項目として、外出活動制限、心理的苦痛、もの忘れの3つを設定(自己申告)した。
その結果、1万2,389人(9.0%)が「きこえにくい」と回答しました。
また、「きこえにくい」と回答しなかった人に比べ、外出活動制限、心理的苦痛、もの忘れ、
いずれの割合も高いことがわかった。
さらに、難聴による相対リスクは、外出活動制限に対して2.0、心理的苦痛に対して2.1、もの忘れ
に対して7.1であることが示されたという。
これらのことから、高齢者の難聴は外出活動制限、心理的苦痛、もの忘れと関連があり、
特にもの忘れと強い関連があることが示唆された。
研究グループは、「加齢に伴う難聴に対して、早期から適切な介入を行うことで、外出活動
制限・心理的苦痛・もの忘れの一部が予防・軽減できる可能性がある。
また、難聴がある高齢者が生活しやすいような環境を作ることも社会に求められているのかも
しれない。
本研究の結果を通じて、難聴を訴える高齢者への医療・社会的な対策が健康増進対策のひとつ
として考慮されることが期待される」と、述べている。
病気についての特徴やアドバイス、今年の傾向など
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